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新聞印刷の色再現について
新聞印刷に関する少々マニアックな部分がございます。
この事項を気にせずとも印刷は可能なのでご興味のある方だけご覧ください。
新聞印刷の概要(新聞印刷は普通?特殊?)
一般的に印刷物のデータを作る場合、DTPソフトの初期設定(カラーモード)はコート紙での印刷、あるいはRGBでの作業環境がデフォルトになっています。このデフォルト設定のまま印刷をすると非常に残念な印刷物になります。
盛りすぎたインキで紙面が汚れて、裏移りもガンガンしている新聞です。

なぜこんな仕上がりになってしまうのでしょう。
それはこのデータが「コート紙で印刷することを想定したデータ」になっているためです。
新聞用紙(更紙)は大量に高速で印刷されること、かつ配送の際の軽量化(薄化)に特化してきた用紙です。 また近年は改良されてきていますが、新聞紙はインキの着肉性が悪いということもあり商業紙(チラシやリーフのようなコート紙)と同じくらいインキを載せることができません。
そのためコートで印刷することを念頭にしたデータ作成では、インキを盛りすぎてしまい、 薄く、着肉性の低い新聞用紙で印刷すると裏移りやインキ余りを起こした紙面になってしまうのです。
つまり、通常のデフォルト設定のままではキレイな印刷物を作成できないのです。
(※当社ではさすがにまずいという案件に関しては事前にインキ総量等を落として 品質が問題ないよう調整いただいております。)
どうすればいいの?
・AdobeのDTP製品をご利用の方CS2以降のバージョンの場合は、Creative Suiteに含まれるAdobe Bridgeで「日本-新聞用」のモードに設定しましょう。
IllustratorとPhotoshop、InDesignのカラー設定を新聞印刷用のモードに統一することができます。
CS2以前をご利用の方は各アプリケーション上のカラー設定で、作業用スペースをCMYK:Japan Color 2002 Newspaperをご選択ください。
・作業環境がRGB製品をご利用の方作業環境がRGBのソフトをご利用の方は、必ずCMYKに変換する必要がございます。
CMYKに変換するには、PDF(PDFx-1a)出力の段階で「Japan Color 2002 Newspaper」のプロファイルを当てることで、CMYKに変換させることができます。 なお、このときに「Japan Color 2002 Newspaper」用に変換させたことで、インキ総量を調整したPDFに変換できています。
これで作業環境がRGBのソフトでも、新聞印刷に適したデータを作成することができます。
(※ただし、文章や罫線の黒部分がリッチブラックになって出力される場合がございます。 その場合は弊社判断で修正させていただく場合がございますのでご了承ください。)
・その他Officeやフリーソフトをご利用の方Microsoft Office(WordやPower Point)は、CMYK変換やインキ総量の調整することができません。 当社判断でCMYK変換・インキ総量の調整を行いますが、 その際に色の変換等が起こる可能性がありますのであらかじめご了承ください。
これで完璧!!しかし・・・
上記の方法の場合は新聞印刷に適したデータは作成できても納得出来る「色」を再現できる方法ではありません。
なぜなら新聞印刷に適した色補正をしていないためです。
新聞紙の紙面には紙色(グレー色)があらかじめついております。(ようするに白色度が低い用紙ということです。)
そのため、色を補正する場合は紙面の紙色も念頭にいれる必要があります。
また新聞印刷の特徴として、新聞は通常のインキと違い浸透式を採用しております。これは新聞の印刷が大量かつ安価に印刷することを目的としているため、自然乾燥がしやすい構造になっているからです。(商業輪転機の場合はインキを急速に乾かすドライヤーが付いているため、自然乾燥の方法はとっていません。)
そのため新聞印刷は通常の印刷物よりもドットゲインが大きくなります。とくに中間調(30%~60%の網点)部分において変化が大きく、一般的に15%~30%の割合で太るとされます。一般的にこの現象を「色が沈む」とか「新聞印刷は暗い仕上がりになる」という言い方をされております。
では、上記2点に対処し想定通りの印刷物を作成するにはどうすればいいのでしょう。
新聞印刷において自分の想定した色を表現するには
紙面の白色度を考慮する
大きなドットゲイン(特に中間調)を考慮する
上記2点に気をつけてレタッチ・色補正をする必要があります。
当社では新聞印刷における色再現方法を、今後少しずつ公開してまいります。完成まで今しばらくお待ちいただければと存じます。
なお、もし画像補正・レタッチにて不安があれば弊社までお気軽にお尋ねください。