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新聞印刷の色再現について

新聞を印刷する新聞輪転機(以下、新聞輪転)は、チラシなどの商業印刷物をするための輪転機、いわゆる商業オフセット輪転機(以下、商業輪転)と比べると、色の再現性について違いがあります。これは新聞輪転が、新聞を大量かつ高速に刷られると同時にコストを抑えて効率的に印刷できるようにしてきたことに起因します。
チラシなどの商業印刷物はコート紙などと呼ばれる表面の平滑度を上げた(ツルツルにした)塗工紙が使われるのが多いのに対して、新聞印刷では表面がザラザラとした非塗工紙を使います。いわゆる「更紙(ざらし)」と呼ばれるものです。表面の光沢が抑えられているため文字が読みやすいというメリットがあります。また輸送時の際の軽量化を実現するためでもあります。
インクも自然乾燥を前提としたインク(浸透乾燥型インク)を使用します。商業輪転では印刷機に乾燥機(ヒーター)がついており、インクもすぐに乾くインクを使いますが、新聞印刷ではそうではありません。これはエネルギーコストを抑えることや、環境への影響を配慮しているからです。
新聞印刷では暗めに見える
印刷物はあたった光が印刷物に反射して人間の目に届きます。このとき表面が凸凹しているために、いろんな方向に光が反射し人間の目に届く光が少なくなり、少し暗く感じることになります。また更紙は紙の色が真っ白ではなく、少しクリームがかったり、グレーっぽい色をしていたりするため、その分の色も反映されて暗く感じる原因にもなります。
さらに新聞印刷で使うインクは、自然乾燥を前提としているためインクが紙に広がりやすく、これが「ドットゲイン」と呼ばれる現象を引き起こします。ドットゲインとは、印刷時にインクが紙に吸収される際にインクの粒子が広がることで、結果として印刷物の色合いが想定よりも暗くなることを言います。このため、再現性を重視する場合は、画像の色を補正する「画像補正サービス」のご利用をお勧めします。
インクの使いすぎは裏写りや汚れを発生させる
インクを自然乾燥させるということはインクが乾くまでに一定の時間を必要とします。インクの量が多いと乾くまでに重なった紙面にインクが写ったり、汚れが発生したりすることになります。特に新聞で使う用紙は塗工処理がされていない薄い紙が多く、よりに裏写りが起こりやすいのです。このため新聞印刷ではCMYKのインクの各色の%の合計(インキ総量)が商業印刷物に比べて低く設定されています。ビンテージ印刷では240%以下、高精細印刷やミニ(A4)サイズでは320%を下回ようにすることが推奨されています。商業輪転ではインキ総量は350%を上限とすることが多いことにくらべるとインクの量は控えめにする必要があります。
新聞印刷で色の再現性を高めるにはどうしたらいいか
一言でいうと新聞印刷の用紙やインクの特性を考慮したデータを作ることに尽きます。特に写真に関しては特段の注意が必要です。Adobe製品をお使いの方は、各アプリケーションの作業用のカラー設定を「日本-新聞用」に設定しておくと新聞印刷の特性を考慮したカラーの編集ができます。Adobe Creative Cloudに標準でついてくるAdobe Bridgeを使うとIllustratorとPhotoshop、InDesignのカラー設定を新聞印刷用のモードに統一することができます。あわせて画像の色を補正する「画像補正サービス」のご利用をお勧めします。
本格的な色再現を実現するために
実はアプリケーションのカラー設定や、PDFの書き出しプロファイルを変更するだけでは十分ではありません。印刷用紙の白色度や、印刷機のドットゲインの特性(印刷機ごとにドットゲインの発生率は異なります)、インクの特性などを考慮した画像補正が必要です。環境的にもモニターやプリンタのカラーマネージメント、色の見え方に影響する作業環境の環境光の管理が必要になります。
当社ではインキ総量などについては、データチェック時に許容範囲を超えていると判断される場合は、PDF上でインキ総量を落とすなどの措置は取らせていただいていますが、そうした対処療法ではなく根本的に色再現を高めるために以下のようなオプションサービスをご用意していますので、ぜひご利用ください。
画像補正サービス | 制作中の画像データをお預かりし、新聞印刷に適切な画像補正を行ったデータをお渡しするサービスです。 > 画像補正サービス |
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本機校正サービス | 実際に印刷する印刷機で事前に小部数を印刷し、仕上がり確認ができます。 > 本機校正サービス |